僕は就職してからずっと営業職ですが、それなりに役職もついたせいか、営業を受ける機会も増えてきました。その中で「なんやねんこいつ」と感じることもしばしばあるので、まとめてみました。
僕の主観100%ですが、こんなのをやっている人は参考にして、悔い改めやがれください。営業じゃないのも交じってるけどお気になさらず。
■しつこいだけのやつ
■自分でアポイントを取らないやつ
■アポイントを取ることがゴールのやつ
■やたら強引なやつ
■いっぱいいっぱいのやつ
■自分のことしか考えてないやつ
結論:■おもしろくないやつ
■しつこいだけのやつ
やたら電話してくる営業マンがいる。
はっきりお断りしてるのに、ストーカーなんじゃないかと思えてくる。どうせ釣った魚に餌あげないタイプ。僕のことは遊びだったのか。
僕は仕事柄、DX関係の展示会に行く機会があるのだが、見目麗しいコンパニオンさんが差し出すうまい棒に釣られ、バーコードリーダーをピッとされてこういう営業にマーキングされてしまう。僕の個人情報12円(税込)です、いかがですか。
集客を狙ってやっていることなので、それで連絡してくること自体は構わないのだが、諦めが悪かったり電話を長引かせるのは、努力のベクトルを間違えていないか。もはや嫌がらせの域だが、僕を根負けさせれば契約がもぎ取れるのだろうか。いくらサービスが優れていても、そんな美人局まがいの奴と一緒にやりたい仕事なんかない。
こういう手合いは若手営業に多く、「諦めないぜ!!」的な熱意が半端ないが、大半が「熱意だけ」なのである。お祭り騒ぎやないかい。もっと重要なもんあるやろ。
会社か上司の方針なんだろうけど、そんな頭おかしい指示に従ってる時点で救いようがない。「数撃ちゃ当たる作戦」で、精度を上げようと試行錯誤できない奴は無能に等しいのだ。思考停止で反復するだけで、数年後も同じ苦行を繰り返すのですか。考えることを放棄するんじゃない。
そういえば、だいぶ昔にオフィス街や展示会場周辺で「新人です!! 名刺交換の練習させてください!!」と個人情報を集める新卒社員さんがたくさんいて、田舎から出てきた取引先の社長さんが「若いのに頑張ってるねー!! 感動した!!」と名刺を渡していた。後日、見事に不動産会社数社から鬼電の洗礼を受けていたが、こういうピュア100%を食い物にして成り立っているんだろう。
そんなことを強いる会社が、イチ社員の人生に寄り添ってくれるのだろうか。
もっとあなたを大事にしてくれる組織を探しても良いと思う。なぜならあなたもまた、特別な存在だからです。ヴェルタースオリジナル。
■自分でアポイントを取らないやつ
アポ取り担当と営業担当が別々の会社で、嫌なのは事前説明がないケース。知らない人がいきなり日程連絡をしてくると「お前誰やねん」となってしまう。これに加えて、アポ取りと営業の情報共有が出来ていないのは論外である。何回説明させるつもりだ。
前提として、僕は商談前に出来るだけ「こちらの課題や聞きたいこと」を提示するようにしている。進めるにしろ断るにしろ、結論を早く出すことがお互いにとって望ましいと思っているからだ。少しでも有意義な商談にするために事前情報を出すのだが、この程度の連携すら取れていないと僕的評価はだだ下がりである。一生懸命用意したプレゼントが、気付いたら椅子の上に忘れられてたような感じ。しょせん口先だけだったのかと、帰ってからさめざめと泣く。
意外にもDXや情報共有のサービスを提供する会社にこういう人たちが多くて、思わず「え、びっくりするぐらい説得力ないんですけど」と言ってしまう。
効率化を狙ったものなんだろうけど、「ファーストコンタクトの肌感」は決して馬鹿に出来ない。電話でもメールでも、小粋なジョークでも飛ばしてお互いの温度感を測ったりして得られるアドバンテージはたくさんあるのに、急に知らない人が出てきたらスン…ってなる。
もっとひどい場合は、少し内容が変わるたび担当もコロコロ入れ替わって、いちいち覚えてられない。「なんか舐められてるなー」と感じてやる気はだだ下がりである。
小粋なジョークがしょうもなさすぎて見限られたのか。さめざめと泣くぞ。
■アポイントを取ることがゴールのやつ
何が何でもアポイントを取りたがるやつがいる。
やたら「30分だけでも」とか言ってくるのだが、なんかそういうテンプレあるの??
僕に必要なのは商談そのものではなく、そのサービスを導入することで「どんな課題を」「どのように解決出来るか」という情報であり、状況は各社様々なのである。それを「とりあえず面談しましょう」「30分だけでも」とか言われると、馬鹿にしすぎだとへそが茶を沸かすわ。というか単純な説明だけだったら、YouTubeとかWebサイトに説明動画でも公開しとけ。それが無理なら壁に向かって30分喋っとけや。
上司に詰問されるのだろうが、商談件数を稼ぎたいという社内事情が透けて見える。親しい相手ならともかく、面識もなく好きでもない奴に協力する義理はない。
時間とは誰にとっても等しく流れているもので、無駄遣いは最も避けるべき資源だ。現状で時間をとって商談するかどうかは論理的に判断すべきだし、興味がないなら最短で断るのがベスト。
そのほうが彼らにとっても無駄がなくて良いはずなのだが、やたらと食い下がってアポイントを取り付けようとしてくる。いやそれで好転することも無くはないだろうが、可能性は著しく低いし、さっさと次のお客さんにアプローチしたほうがよっぽど建設的とは思わないのか。断られて困るのは、顧客ではなく社内を向いて仕事をしている無能だ。
商談件数を増やすのは、あくまで契約数を増やすために必要なステップであって、それ自体が目標であってはならない。そんな初歩のことすら理解できない奴が馬鹿なのか、ちゃんと理解させられない上司が無能なのか、はたまたその両方か。お前らが期待しているほどみんな馬鹿じゃないので、そんな浅慮さはビンビン伝わってしまう。
「とりあえず」でアポイントを迫ってくる人たちは、相手の時間を奪うという意味を真剣に考えるべきだ。そんな初歩の気遣いすら出来ない奴が、ナイスな提案を持ってきてくれるとは思えないが。
と、暇人代表の僕が申しております。
■やたら強引なやつ
出来る営業的な世迷い言に騙されているのか知らないが、どんな状況からでも言葉巧みに契約に持っていくことを、いわゆる「クロージング」だと思っている奴がいる。
本来のクロージングは、最後に迷って決断しきれないお客さんに寄り添って、そっと背中を押すぐらいのものである。既にこちら側に傾いていることが前提で、左手は軽く添えるだけ。強引に押されたら誰だって嫌じゃろうが。
それなのに奴らはいきなり畳み掛けてきて、「いかがですか!?」とかやってくる。「いや、要らないです」と答えるとまばたきが異常に早くなって「どうしてですか!?」。てめーが嫌いだからだ。もしかして社内では、「きゃー、田中くんにクロージングされたい!!」「そこにシビれる!!あこがれるゥ!!」とかなってんのかな。
考えてもみてほしい。
まだ〇〇が▲▲ないのに□□したら✕✕のは当然で、そんなことしたら一瞬で嫌われるのがオチだ。なぜビジネスの場でこれを平然とやってしまうのか。相手に寄り添って考える気持ちも余裕もないのだろうが、残念ながらそういう姿勢は伝わってしまうものだ。野球でも1回表から抑え投手出てこんやろ。知らんけど。
どうでもいいけど、自称Sの大半はワガママなだけの勘違い野郎だと思いませんか。
■いっぱいいっぱいのやつ
やたら余裕のない奴がいる。
一生懸命なのはわかるが、少し質問しただけで取り乱したり、何故か呼吸が荒かったり。鬼殺隊志望ならすぐに浮足立つでない。それかもし具合が悪いなら早く病院に行きなさい。
格というものは実際にあって、どんな状況でも冷静に対処していくには実戦経験が欠かせない。契約というのは大事な財源を投資してパートナーを選ぶことに等しく、いつも余裕が無い奴に依頼など怖くてできようがない。ちなみに、格がつくには年齢も無視できないファクターで、若手営業が変に背伸びすると空気読めないマンが完成するので要注意。僕は痛い目を見た。
いっぱいいっぱいの奴は準備不足のケースが大半で、商談件数至上主義がこれに陥りやすいと見た。当たって砕けろ精神の、ほぼ運ゲーである。ノルマが厳しいのか上司が怖いのか知らないが、急がば回れとエールを送りたい。
こいつらはさっさと断ると言葉に詰まるくせに、なかなか話を終わらせることが出来ない。怒られない報告をするための言葉を僕から引き出したいのだろうが、撤退戦を想定していないので、どうしたら良いかわからなくなるんだろう。
最悪の場合はお願いします作戦で情に訴えかけてくるのだが、それは僕に何かしらの価値を提供出来るのか。自己中ここに極まれりである。
事前準備をしていると「サボってないで商談してこい」と怒られる組織もあるらしいが、会社の看板を背負うなら、社内に対して少しぐらい物申す覚悟を持ったほうがいい。諸事情によりどうしても出来ないなら、プライベートの時間を割いてでも事前準備に取り組んでみるべきだ。
これはいわゆる投資。最初は数時間掛かったとしても、案ずることなかれ。慣れてくると要領がわかってきて、手早くこなせるようになる。予習復習を欠かさなければしっかりと定着して血肉になり、人生の心強いパートナーになるだろう。
進学塾講師などは準備時間のほうが長いと聞くが、営業も少し見習ってみればどうか。
世界はこんなにも美しいんだから、あせらずにいったん深呼吸して周りを見渡してみると良い。
僕はだいたい、そのまま寝ます。
■自分のことしか考えてないやつ
これは既存取引先の営業マン。
社歴も長いし嫌いな相手ではないが、ほとんど上層部に上げる報告のことしか考えてない。大手になると色んな義務やら束縛があることはお察しするが、もうちょっとうまくやれやと思う。
先々の需要調査や在庫引き取り要請など、「上からこういう指示がありまして」とくる。いやそれは良いのだが、「明日までにお願いします」と言われてキレた。提示してきた資料の日付が1週間以上も前だからだ。
いろいろあってすぐに提示出来ないこともあるだろう。しかしそれを見た相手がどんな気持ちになるかは容易に想像がつくし、ちょっと事前確認して修正すればバレないのに、それすらやらない怠惰さに腹が立つ。何も考えずに仕事をしているからそうなるわけで、押し付けられる側としては文句の一つも言ってやりたくなる。普通に言うのだが。
あと、一方的に情報を聞き取りたいだけのやつ。
実はこれ身内の奴なんだけど、相手の質問にはろくに答えずはぐらかし、自社のことは秘密のヴェールに包んだまま。人質とって事情聴取でもしてんのか貴様は。
商談も全く盛り上がらず空気も冷え冷えで風邪をひきそうだったので(しかも長い!!!!)、終わってから「もうちょっとこっちの情報も開示したらいかがっすか??」と言うと、「情報が洩れたら困るから!!」とのたまう。中小企業の売上情報開示ごときで困ることを、どうか僕にlmk。
何だってギブアンドテイクだ。当然ながら情報だって同じ。一方的に持っていきたいだけの奴からは、どんどん人が離れていってしまう。しかもそういう奴に限って、大事な情報を得られたとしても活かせない。うわさ話好きのクリーニング屋店主かお前は(クリーニング屋さんすんません)。
やたら情報漏洩を恐れる人は、そもそも言っていいか悪いかの判断がついていない。本質がわかっておらず、失敗を恐れて何も差し出さなくなる。そんな奴に何かを得る資格はない。
ちなみに僕は、みなさんの施しで生きております。
■結論:おもしろくないやつ
いままでいろいろ述べたが、正直言って全てはこれに集約できる。
商談はだいたい30分〜60分ぐらいが一般的だが、その間にどれだけ相手を笑顔にさせられただろうか。笑いを取ることが目的ではないが、ちょっとしたユーモアやセンスに富んだ言い回しが出来ると、契約へのハードルがぐっと下がる。クレーム対応時はもう少し慎重になるが、本質は変わらない。みんな感情を持った人間だもの。
よく「いきなり本題に入るな」と言うだろう。準備運動はとても大事なことなのだ。
通り一辺倒のサービス説明であれば、代わりは掃いて捨てるほどいる。なんなら吐いてもいい。営業はAIに取って代わられにくい職種だと言うが、彼らは大丈夫だろうか。
そういえば、加工屋さんで職人気質の社長さんがいるのだが、彼のPCに「まず雑談から入る」と書いた付箋が貼ってあって、一気に彼のことが好きになった。あれが作戦なら孔明の罠だ。見事なり。
弊社でも多いのよ、おもしろくないやつ。
真面目系無能、自意識過剰、自尊心高志、武勇伝噺家、KY(僕)、華麗なる老害一族、おぼっちゃまくんなど、各種取り揃えております。
なんかもう変なマウント取りはこんにちはぐらいのレベルで、何か指摘された時に額の青筋から高すぎるプライドが吹き出そうな爺とか、力説するたびにあふれ出る承認欲求をおつゆと一緒に飛ばしてくる爺とか、自分に酔いすぎて周囲に車酔い的吐き気デバフかけてくる爺とか、そもそも全体的に生き方が汚い爺とか、毎日が地獄絵図でアットホームな職場である。老害多杉内。
そういえば、グループ会社になかなか数字が上がらず苦しんでいる初老営業さんがいる。
とても優しくて頑張りやさんなのだが、僕の上司が「あの人おもんないねん。真面目なんやけどな。全然おもんないねん。ほんまおもんないわ。良い人やのにおもんないねん」と悲しそうに言った時の顔が、大きい子犬みたいでものすごくおもしろかった。何回おもんない言うねん。
そんな僕と上司は、準備運動だけで終わって気分良く帰ることが多い。なんやねん。